後期宮松
前注文が多かったため、
富美夫人はかつての職人であった静山に
頼み影水駒を作ってもらいます。前注文
の品がすんでからも静山は富美夫人のた
めに駒を作りますが、駒師名を以前の「宮
松」に戻します。これが「後期宮松」と
呼ばれているものです。
富美夫人は「美水」と名乗り駒を作り
始めます。根津に富美夫人を尋ねたとき
に彼女がいった一言がいまだに心に残っ
ております。
「わたしね、あんまり駒を作るのはう
まくないと思うのよね、でもお父さんの
残した生地は、わたしが全部駒にしたい
の。影水の駒生地だってわかって使って
もらったらうれしいでしょ」